2014年 ANSI/ISO 人財マネジメント標準化の元年が到来!
国際メンタリング&コーチングセンターではフレッシュな情報を直接お届けするためにメールマガジ
ンを配信しております。
世相を反映した特選メルマガをまとめて掲載しましたので、ご一読覧下さい。
今見直してみると、あの時の考えが、どの位的を得ていたかを知ることが出来る! |
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■ 2014年3月2日 ビック・データとアナリティクス(分析力)の時代
昨年(2013年)から、「ビック・データ」と言うキーワードが注目される様になった。
過去のデータを分析するBusiness Intelligence(BI)やデータマイニングより、ビック データに注目が
集っている。BIでは、色々なデータを集めてみたが、どう分析して、どう判断するのかで、悩んでいるユ
ーザーが多い様で、役立つと思われるデータを中心に、戦略的にデータを集めて、分析するのが、ビック
データの特徴だ。
ポイント・カードやサイト履歴情報等の個人データの中から、必要な部分だけを抽出し、蓄積する技術
が飛躍的に進んだことがこれを可能にしている。
これと同様の傾向が、人材マネジメントの分野でも進んでいる。従来、人材指標(HRメトリクス)と
して、従来の人材情報の中から、役立つものを中心に、指標づけして、戦略的に活用しているが、果たし
て、これだけで良いのであろうか?
現在では、積極的にデータを集めて、分析し、マーケティングに活用している企業も多い。特に、スポ
ーツチームや企業が結果を出し、成功する事例が顕著になっている。
今回は、従来の単純な指標づけと、戦略的なビックデータを活用する動きを人材分析(アナリティクス)
と言う視点で考えたい。
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1.人材データの分析のお手本は、プロ・スポーツ界にあり!
2.どんな価値観で、何に注目しているかが、分かっていれば、頑張れる!
3. CS(顧客満足)が先か、ES(従業員満足)が先なのか?
4.次回の戦略的人材マネジメント研究会で「人材指標(HRメトリクス)から、
人材予測分析(HRアナリティクス)への転換は進んでいるか?」を議論しよう!
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1.人材データの分析のお手本は、プロ・スポーツ界にあり!
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データ分析が、いかに競争に活用されたかを知るには、プロ・スポーツの世界が一番良い。一番進んで
いるのが、野球の世界であろう。
野球の世界でのデータ活用では、「マネーボール」の話が有名だ。「マネーボール」は、2003年に
ノンフィクション小説として発売され、ベストセラーになったもの。その後、映画化され,2011年に
公開され、注目を集めている。
財力のない弱小球団であるオークランド・アスレチックスが、如何にヤンキーズ等の金満球団に対抗す
るのかをテーマにしたストリーだ。
その中では、野手や投手としての重要な要素、重視されない要素が明記されている。
「野手」で重視されるのは、出塁率、長打率、選球眼、慎重性だ。
逆に重視されなかったのが、バント・犠打、盗塁、打点・得点圏打率、失策、守備率である。
太り気味で、パワフルな選手の多い、米国人選手を考えると、予想される視点、価値観ではあるが、体
格の違う日本人選手に対しても、これが当てはまるかは、イチロー選手のメジャーリーグでの活躍を考え
ると明白だろう。確かに、従来の彼らの価値観が果たして正しかったのかを見直す良いきかっけにもなろ
う。
一方、「投手」に対して、重視されたのは、与四球、奪三振、被本塁打、被長打率であるが、重視
されなかったのは、被安打数、防御率、自責点、勝利数、球速等である。防御率、自責点、勝利数
は、未だに、日本の野球界でも重視されている指標だ。
ヤンキーズ等の金満球団での価値観とは、全く違う指標であることも興味を引いたが、財力のあるレ
ッドソックスでも、この考え方が取り入れられたとのこと。
1月に行われた田中投手に対するポスティングでは、獲得競争に参加した球団と参加しなかった球団を
見ると、財力の違いもさることながら、この価値観の違いは、財力だけが原因ではないとも言えよう。
プロ球団では、どんな人財が求められているのか、現在、自分はどのレベルにあるのかを把握するに
は、大変役立つ指標を提示している。
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2.どんな価値観で、何に注目しているかが、分かっていれば、頑張れる!
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だが、プロと自認していない人財にとって、これらと同等の目標や重要指標を明確にして見られるとな
ると、皆さんは、抵抗を感じないだろうか?
ただ、「どんな価値観で見られているのか」が事前に分かれば、恐れることはないとも言える。
むしろ、上長や組織全体が何を考えているのか分からない時とか、どう見られているのか、言ってもら
えない時こそ、逆に心配と不安を伴うことになる。
上長の価値観が理解できずに、自分なりに頑張っているつもりなのに、何が問題なのかも、気がついて
ないとしたら、何を目指すべきか、どんな方向で頑張るべきかがわからないことになり、この方が、大き
な問題に直面する。
もし、上長の話を聞いていても、更に心配になるとしたら、肝心な所が伝わってないからだ。
欧米では、マネジメントの基本として、Accountability(説明責任)を、大変重視しているが、重要
な目標や人材指標(HR メトリクス)を、明確にしていれば、わかり易い。
しかし、人材指標(HR メトリクス)として、明確にしても、それだけで、十分だということでもな
い。
例えば、人材の行動の変容を観察する目的で、社員証にセンサーをつけて、観察したとしよう。多くの
データを分析して、どんな傾向があるのかを見る機会があれば、本人にも、どんな風に見られているのか
を知ることが出来るわけで、刺激にもなる。
少なくとも色々と試行錯誤している状況は理解されることになり、一方的に決めつけられるよりは、ず
っと良いとも言える。
結果に結びつくには、まだ程遠いと言えど、それからどう改善するのか、予測分析ができるかが、重
要になる。これらの試みは、人材予測分析(HR アナリティクス)と言われる。
つまり、一部の人材指標の動きを把握するだけで、終わっているのか、それから、予測分析して、方
向を修正したり、更なる改善により、進化しようとしているのかどうかが、一番重要になるからだ。
今後、考えられる色々な事態に対して、人材予測分析(HRアナリティクス)がキチンとなされ、そ
の予測にどう対処しているのかが、問われる時代なのである。
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3.CS(顧客満足)が先か、ES(従業員満足)が先なのか?
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マーケティングを学ぶ際、よく聞かれるのが、CS(顧客満足)とES(従業員満足)のどちらを優先
して、実行するべきなのかという議論である。
従業員に不満がたまった状態にも目もくれず、顧客満足だけを要求しても、お客が満足している状況と
は、どんな状況なのかも理解できず、空回りしていることが、よくある。
従業員は、上長や職場全体で行われているやり方を、お客に対しても、そのままやってしまうのが普通
である。従い、職場が明るい雰囲気の環境があれば、お客に対しても、明るく、愛嬌よく対応するように
なる。上長や先輩達が、いつも不平や不満がましいことばかり、言っていると、ついついいやな表情が多
くなり、お客もそれを肌で感じ、いやな気持ちにもなりかねない。
お客に気持ちよく感じてもらうには、色々な試みより、皆の理解が深まり、役立つものになると感
じているかどうかが、まず第一歩で、これなくして、CS(顧客満足)を改善することは難しいだろ
う。
もし、従業員の行動変容に普段から気配りして、その背景に、何があったのかを探り、その背景を分析
しながら、改善を続ける職場風土や習慣があれば、顧客の行動変容に対しても、習慣的に分析し、効果的
な対応に努めることになろう。
この関係性があるがため、顧客分析をする前に、まずは、従業員の行動変容を観察し、これで良いの
かを考えさせることである。これから色々な学びを得ることから、顧客の行動変容を観察する能力を養う
ことにつながる。自らの行動変容を分析することで、「どうすれば、自分の行動が変わるのか」のイメ
ージできる様にもなろう。
このような関係性から、業績を改善するには、まず人材予測分析(HRアナリティクス)を実施する
ことから始め、ある適度の改善が得られる様になると、市場の行動変容の背景がみえるようにもなろ
う。
本来、HRプロには、そこまで戦略的な支援活動を、要求されているが、皆さんの会社では、どこまで
進化していますか?
分析力を武器として活用しているかどうかには、5つのステージがあるとバブソン大学教授の トーマ
ス・ダベンポートは、「分析力を武器とする企業」(日経BP社発行)で、説明しています。皆さんの会
社は、どのレベルにあると思いますか?
是非、現在働いている会社の発展ステージを、是非評価してみて下さい。
詳しくは、次回の戦略的人材マネジメント研究会で詳しい説明を致します。
尚、研究会の発表資料は、こちらのサイトから、ダウンロード可能です。
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■ 2014年3月20日 ランクづけから、コーチング&人財開発重視への転換
最近、パフォーマンス・マネジメントというキーワードをよく耳にします。
このマネジメント手法を、評価者が学ぶべきマネジメント体系ととる人がいますが、本来これは、すべ
てのマネジャー、現場リーダー、また、支援者(メンター)にも、学ぶべき基本的な考え方を示していま
す。
欧米諸国での、パフォーマンス・マネジメントの歴史は長く、当初のモデルと米国国家規格協会
ANSI標準として、新たに採用された新タイプのパフォーマンス・マネジメントとは、その中身が大き
く異なります。
その違いと、それが生まれてきた背景を解説してますので、皆さんの企業では、適切なモデルを導入し
て下さい。
尚、本メルマガに関するスライドは、こちらからご覧になれます。
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1.皆さんには、次の2つのマネジメント手法のどちらが効果的ですか?
2.現実的なパフォーマンス・マネジメント(PM)とは?
3. ANSI版パフォーマンス・マネジメントには、最新版を採用!
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1.皆さんには、次の2つのマネジメント手法のどちらが効果的ですか?
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グーグルでも無料ダウンロード可能な「Prediction for 2014」という報告書では、パフォーマン
ス・マネジメントの考え方として、(A)競争アセスメントモデル、(B)コーチング&人財開発モ
デルの2つのモデルが紹介されている。
その一つが、競争アセスメントモデルと呼ばれ、GE等の優良企業で、主に行われている「社員を競
わせて、切磋琢磨しようとする」モデルです。アセスメント等の能力評価やランクづけを頻繁に行い、高
業績者には、高給を出すものである。
マネジャーは、人事考課が大変になりやすく、高業績者には良いが、中以下と評価された人には、必ず
しも、やりやすい職場になるかどうかは疑問だ。
一方、コーチング&人財開発モデルと呼ばれるタイプは、メンバーの強みや弱みを把握しますが、
「強み」を発揮できる機会をつくり、業績に結びつけるため、職場全体で支援と人財開発をするもので
す。個人の業績だけでなく、チームワーク、リーダーシップも、更には、顧客からの反応も含めて総合的
に判断し、フィードバックをキチンとしますので、何が課題なのか、理解が進みます。
(B)のモデルでは、人事考課にても、自己診断、多面評価を重視し、普段の業務の集大成として位置づ
けますので、納得度も高まります。チーム内でのランクづけより、チームへの貢献度を重視しますので、
チームワークが高まるのです。
また、厳密で、煩雑な能力アセスメント評価やランクづけをむりしてまで、実施しませんので、現場サ
イドからは、大きな抵抗はありません。
このどちらのモデルをとるかで、チーム内の仲間をライバルと考えるか、互に協力して仕事をする仲間
と考えるかの大きな意識の違いが生じることになる。
その結果、(A)のモデルをとった多くの企業では、ライバル意識が強いため、チームワークがとれな
かったり、むりなランクづけで、中以下の評価の人から、不満が多発したり、当初期待したほどの成果も
あがらず、迅速な対応も取れなかったとか、余りに煩雑で大変との不満があり、何らかの改革が必要にな
ったと報告されている。これは、正しく日本企業でも同様と言える。
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2.現実的なパフォーマンス・マネジメント(PM)とは?
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それでは、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
そこで、現在の企業にフィットした体系として、注目を集めているのが、コーチングと人財開発モデル
です。
チーム内でライバル意識を過度に高めるランキングづけをむりやりせず、その替り、なれないメンバー
には、職場内での支援役(メンター)を明確にして、指導・支援を行い、その状況をマネジャー、現場
リーダーが的確にフィードバックをする指導・支援体系をとります。
マネジャー、現場リーダーは、メンターのチームや組織全体への貢献度を適正に評価しますので、お
互いが、ライバルではなく、仲間同士としての意識が高まります。
また、市場の急激な変化を見据えて、当初の目標の見直しを従来よりは、多めの四半期毎に行い、改善
計画を立て、実行に移します。その場合の人員増加や追加支援も必要に応じて行います。
当初の個人目標が、組織の目標の達成に貢献しているのかの見直しも行いますので、整合性も高まり、
業績への貢献度の改善につながります。
潜在能力があるものには、「更なる挑戦の機会」もつくり、チームで助け合う職場風土を育てます。
タレント・マネジメントを同時に導入すれば、一層効果的に機能することになります。
成功の鍵は、どのように「オープン・マネジメント」の思想を組織内で広められるかどうかにありま
す。タレント・マネジメントのスムースな導入にも重要な考え方になります。
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3. ANSI版パフォーマンス・マネジメントには、最新版を採用!
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2012年に米国国家規格協会ANSIで採択されたパフォーマンス・マネジメントは、上記で示され
た(B)コーチング&人財開発モデルをベースに、モチベーションを強化したタイプを採用していま
す。
従い、従来型の能力アセスメントを重視した従来の人事考課では、業務の煩雑さにこりたマネジャーに
とっては、大変な「吉報」でもあります。
煩雑なアセスメント評価やランクづけに貴重な時間を使うより、「日頃からのフィードバックがキチン
とされているか」が、今まで以上に注視されますので、日常業務に更に力をいれることができる様にな
り、業績へのリンクも高まります。
今後は、「どんな人財が求められているのか」を明確に伝え、それに挑戦する意欲がある人財を支援す
ることで、チームへの貢献と判断しますので、互いの存在を認め合う気風が育ちます。
単純な自分の業績だけではなく、チームへの貢献を通して、存在感を高める気風を育てることを目指し
た仕組みづくりを行い、タレント・マネジメントのスムースな導入につなげます。
これからは、この新しいパフォーマンス・マネジメントの仕組みをスムースに導入できた企業には、
ISO HR標準の認証を提供することになります。
このような視点から、ANSI HR標準の導入は、将来のISO認証を目指す企業だけでなく、「広くグロ
ーバル企業として認知されるための試金石」にもなります。
ANSI版 パフォーマンス・マネジメント及びそのほかの規約を満たすには、各種の人材指標(HRメ
トリクス)の導入も同時に求められますので、人材指標(HRメトリクス)や人材育成の見える化への仕組
みづくりも同時に進める必要があります。
尚、戦略的人材マネジメント研究会では、最新情報をベースに自由な意見交換をする場を作り、ネット
ワークの構築にも役立ちます。研究会の詳細は、こちら。
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■ 2014年3月25日 意識改革を促す人材予測分析
3月12日は、SAS主催の統計学の権威と言われるヘレン博士(女性)の講演会に参加しました。彼
女は、国際統計学会の副会長で、クイーズランド工科大学(オーストラリア)の教授です。いまでは、オ
ーストラリアの工科大学でさえ、統計学は大変な人気科目で、600名の学生を抱えているそうです。ま
だ、若い学生が卑近なテーマで、仮説をたて、大変熱心に検証しているとのこと。従来は、大学院レベル
で学んでいたことを、今では、使い易いツールの登場により、多くの大学でも実施しています。
その検証法の指導しているのが、ヘレン教授で、学生の仮説検証の手法のおかしい所や、よく間違う事
例を、参考までにあげていた。
私も相当昔、ビジネススクール時代に、同じ体験をしましたが、今では、アジアやオセアニアの大学で
も、統計学やビックデータを学べる学科は、大変人気だとのこと。
また、近年開発されたBIツールやビックデータ関連の進化は、実に著しく、注目に値しますが、これを
支えるツール類の進化が、その背景にあるとも言える。
ただ、残念なことに、日本では、この実践分野では、相当の遅れをとっている。
この遅れは、企業競争力にもろに反映されますが、各事業部で独自に実施するたけではだめで、会社の
データサイエンティストやアナリストを集結して、分析する動きが世界的に進んでいる。
今回は、ヒューマン・ビックデータ及びヒューマン・アナリティクスの現状と課題を考えてみたい
と思います。
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1.ビックデータの要となるヒューマン・ビックデータ
2.ビックデータは、2020年までに1兆円市場!
3.ヒューマン・ビックデータは、どの部で、誰が、担当すべきなのか?
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1.ビックデータの要となるヒューマン・ビックデータ
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2013年10月のSHRMコンファレンスでは、パフォーマンス・マネジメントにおいても、クラウ
ドソーシングの活用が目立っていると報告した。
日本でも、ヒューマン・ビックデータに関する論文が、日立製作所、中央研究所から発表され、これ
を使って、ビジネスを開始したソフトベンダーもある。
その背景には、「人と人とのコミュニケーション活動」が重要だとの認識があります。日立中央研究
所では、既に10年以上前から、この研究を進めている。
しかし、これが普及するための課題として、2つあると言われる。
まず、社会から、信頼を得るために、プライバシー問題に対して、警戒感を解いてもらうための活動に
対する理解と、このビックデータももたらす利益を実感してもらう必要があり、そのために何と10年の
年月がかかったとのことだ。
特に、日本では、ヒューマン・ビックデータの扱いに関しては、担当者の中でも抵抗感が大きいと言う
現実は、大変な驚きである。
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2.ビックデータは、2020年までに1兆円市場!
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従来のビックデータの利活用で、重要なものは、5分野がある。
つまり、
(1)ヒューマン・ビックデータ、
(2)マシン・ビックデータ、
(3)ロケーション・ビックデータ、
(4)マーケット・ビックデータ、更に、
(5)スマートインフラ・ビックデータ
になります。
最近は、3年目の東日本震災の影響もあり、NHK特集では、ビックデータを利用した避難経路のシミ
ュレーションをよく見ますが、これも(1)ヒューマン・ビックデータの活用です。
その多くは、携帯電話所有者を、GPSを利用して、分析したものです。
車情報のビックデータは、(2)(3)に属するもので、この道路の混雑情報として有名です。
また、アマゾンやウォルマート他が重視しているのは、(4)マーケットビックデータであり、一部の
有力小売業では、この分野での投資に力を入れている。
矢野経済研究所の調査結果によると、2011年のビックデータ市場は、1900億円だが、これが
2020年には、何と1兆円になると予測している。
だが、2012年の所、日本でのビックデータ導入率は、2.6%で、先進諸国でもまた低いレベルにあり
る。
これも、日本では、データ・サイエンティストやアナリスト人財がまだ育ってないからと言える。
最大の課題は、有名大学でも、統計学やデータ・サイエンスを学べる所に限りがあるからでもある。
この分野は、実務体験が大変重要な要素になる。
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3.ヒューマン・ビックデータは、どの部で、誰が、担当すべきなのか?
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事業部制やカンパニー制の企業では、組織毎に、別々の人員を確保して、独自の運営をしているケース
が多い。
この場合、担当者1−2名、それも兼任が殆どである。
人事異動が多い日本企業では、慣れない人が、次から次へと変わって、最初の発達レベルに戻り、進歩
が見られないお粗末な事例は沢山あります。これでは、競争力強化には、程遠い状況だと言える。
または、本社情報システム部が、一手に引き受けているケースもあります。情報システム部門では、確
かにPCやプログラム開発に詳しい人財はいても、ビックデータ処理や、戦略的な市場分析までできる人
財がどこまでいるかである。
ヒューマン・ビックデータに関しては、本来は、人事が中心になり、どんな分析をして、何に活用す
るかの方針を建て、全社的に進める戦略をたてる必要があります。この戦略を立てて、実行するのは、
HRプロの重要な仕事になる。
このHRプロは、人事部門と関係事業部の両方に所属する必要性も出てくる。
今後は、人事も、戦略的人事を要求される時代でもあり、戦力計画の立案と実施をグローバル展開する
と共に、人材分析(HR アナリティクス)を求められることになる。
この中で、ヒューマン・ビックデータの取り扱いは、避けては通れない重要なテーマになる。
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■2014年3月30日 欧米企業で広まる人事改革の波は、日本に広がるか!(Part1)
昨年末から、今年初めにかけて、各種の報告書や人材マネジメント関連雑誌で大きな注目を集めている
のが、ソフトウエア・IT・サービス系企業での人事考課の大改革である。
これは、日本企業の人事改革にも大きな影響を与えそうだ。
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1.アドビ、マイクロソフトのランク付け廃止で、チームワークの改善を!
2.タレントのランクづけより、現在の課題の「見える化」をして対策を!
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1.アドビ、マイクロソフトのランク付け廃止で、チームワークの改善を!
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数年前から、約70%以上の企業が、従来の評価体系を見直そうという動きが出ているが、昨年末、ソ
フト開発、IT関連、サービス産業のアドビ、マイクロソフト、ヤフー等の有力企業が、従来から行ってき
たランクづけによる人事考課を取りやめるという方針を打ち出した。
取りやめの理由として、個人の業績評価に力を入れすぎ、ベルカーブによるランクづけをしていたこと
もあり、ライバル意識が高まり、互いの協力関係に多くの阻害要因になるからだ。
これが原因で、元々自由な気風で話し合いながら、協働で仕事を進めようとする企業風土をそこない、
マネジャーと従業員の両者の不満は解消されなかったからと説明している。
特に、アドビ社では、過去5年にわたり、ランクづけのための評価資料作成に、2000名のマネジャー
が年間80,000時間をかけたが、価値ある仕事にはなり得なかったとのこと。
これは、フルタイム従業員の40名分の損失になったと実に具体的な数字まで発表している。
従来、年に一度、行った人事考課を取りやめ、ランクづけもしないとなると、高業績者には、不満が残
ることになりかねないので、マネジャーは、一定枠の範囲内で、従来より自由な報償枠を設定して、以前
より柔軟に調整を可能にした。
マネジャーと従業員とのコミュニケーションを高めるため、日頃からのフィード・バックをより頻繁に
行い、4半期毎に関係者の立会いのもと、「チェック・イン」の機会をつくることにした。
これは、従来の様なランク付け会議ではなく、市場の激変に対処するための目標の見直しであり、パフ
ォーマンス改善のための支援強化、場合によっては、人員強化を決める機会にもなります。
ランクづけより、当面の対策を検討して、実行するのが、一番重要だという実に現実的なマネジメント
手法に転換した訳だ。詳細は、こちらをご覧下さい。
また、マイクロソフト社では、4つの変更点を発表した。
(1)個人の業績だけでなく、チーム・メンバー間のチームワークと協働活動を高く評価、
(2)また、自分の成長だけでなく、他のメンバーの人財開発に貢献した場合には、これを評価
(3)ベル・カーブにとらわれることなく、マネジャーの自由裁量の予算も確保して、高業績者や組織
への貢献者に報いる、
(4)内でのランクづけはやめ、チームワーク、組織横断的な取り組みを評価し、組織と個人の目標
の整合性やタレント・マネジメント等への貢献度も勘案することにした。
これは、かつて無い人事制度の大改革となり、チーム内での協力や、組織横断的な取り組みを促すこと
で、企業競争力の強化を目指している。
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2.タレントのランクづけより、現在の課題の「見える化」をして対策を!
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この人事考課の方向性は、2012年に決定した米国国家規格協会ANSIのパフォーマンスマネジメン
ト条項のガイドラインにも合致している。
この決定と同時に、過去の人材指標を中心にしたHRメトリクスから、将来の動向を予測して、早めに
是正が可能な、より重要なAnalytics指標としてのHR/HC アナリティクスを活用する動きが強まった
と言える。ヒューマン・ビック・データも含めて、総合的な視点で判断するための新たな分析指標がか
わりに導入されることになる。
これに伴い、ANSI内で検討中のHR メトリクスから、HC アナリティクス(人財予測分析)に転換
する議論が盛んになり、この分野の権威達も持論の先進性を主張するために、論文掲載、HC Analytics
関連本の発売予定があいついだ。
5月のASTD2014や、6月のSHRM2014でも、人財分析(HCアナリティクス)が重要なテー
マになっている。
人財分析(HCアナリティクス)と聞くと、「難しそう」と感じる人が多く、「そんなことやっている
暇はないよ」と、後回しにしがちだ。
しかし、現実は、多くの人が難しいやり方では、米国内でさえも、普及しないので、簡易化して普及に
努める内容になり、その成果として、ANSIの各種の標準化案が提案され、議論される状況にある。
日本企業でも、不毛なランク付け人事考課をいつまでも変えられない状態が続けば、組織のチームワー
クも険悪になり、画期的な新商品も出せない大企業病になりかねない。
現代のようなスピードが命の時代だからこそ、本来、早期になすべき人事改革を後回しにすれば、企業
競争力の急激な低下につながることになる。ハイアールのような中国企業、アスースのような台湾企業
でも、決断スピードを早めるための人事改革をいち早く取り入れ、急成長している。
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■2014年5月7日 欧米企業で広まる人事制度改革は、日本に広がるか!(Part2)
前回、アドビやマイクロソフト等の先進欧米企業で進む人事改革に関して、お知らせしたが、伝統的な
パフォーマンス・レビュー(Performance review)の手法に関しては、14年以上も前から、色々な
意見が続出して、盛んな議論が行われてきた経緯がある。
今回は、その辺の経緯を追って、考えます。その中から、日本企業での人事考課を見直す大きなヒント
が隠されている。
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1.女性SVPが主導したランク付け廃止の人事考課改革が、大評判に!
2.個人の業績評価を給与に反映するのは、もう古い手法だ!
3.タレント開発にどれだけ貢献できるかを評価する時代に対処するには?
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1.女性SVPが主導したランク付け廃止の人事考課改革が、大評判に!
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アドビの女性SVPが、伝統的なランクづけ人事考課を取りやめたという劇的なニュースが2013年末
に飛び交ったが、スタンフォード大学教授が、このSVPをインタビューし、本を執筆した記事が、
LinkedInに紹介された。
詳細は、こちら。
この大変革は、社内からは大歓迎され、多くのマスコミからは、英雄のごとく、取り上げられました。
しかし、同様の議論は、既に2000年頃から、色々な人が提言し、この考えを解く本が、いくつも現
れましたが、多くの企業経営者達は、過去の伝統的な評価手法を変える勇気が、当時はなかったとも言え
ます。詳細は、こちら。
このような大英断は、過去とのしがらみがない女性幹部の登用により、漸く実現できたとも言えます。
本人は、社内外で、このように大歓迎されるとは、予想していたであろうか?
しかし、アドビの改革は、伝統的なパフォーマンス・レビューを否定したものでなく、チェックインと
言う形で、名称とそのやり方を変えて実現した所が賢いと言える。
従来、ランクづけすることで競争意識を煽ることで、良い結果がでると思われていましたが、現実は、
競争心を煽るだけで、協創の気持ちを削いだ現実を振り返り、競争心を煽るより、キャリア意識に火をつ
けて、職場の仲間が、キャリア達成を援助する仕組みをつくる協創環境の構築を徹底したものだ。
この手法は、コーチング&人財開発モデル(Coaching and development model)と呼ばれてい
ますが、これは伝統的なメンタリングスキームを全社的に実践するタレント・マネジメントに到達したと
言うことにほかならない。
米国国家規格協会ANSI版 HR標準に基づく、パフォーマンス・マネジメントガイドラインが
2012年末に決定したことで、Coaching and development modelへの流れを後押ししたからでもあ
る。
新しく決まったANSI版パフォーマンス・マネジメントは、伝統的な競争アセスメントモデルではな
く、コーチング&メンタリングを基調にしたコーチング&人財開発モデル(Coaching and
Development model)そのものなのである。
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2.個人の業績評価だけを給与に反映するのは、もう古い概念だ!
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日本でも有名になったダニエル・ピンクが主張したごとく、現在では、金銭的なインセンティブは必
ずしも有効だとは言えません。
業績結果をそのまま給与に反映することで、どれだけやりがいを引き出せているのかに注目している。
従い、パフォーマンス・レビューの結果を給料に反映させるべきとはもはや考えていない企業も増え
ている。
ソフトの大手マイクロソフトも、ランクづけして、給与に反映する手法は、もはや取らないと発表し、
従来からのメンタリングの取り組みを強化している。
マイクロソフトでは、長年、メンタリングの導入に熱心で、個人の評価を厳しくするのでは、チームワ
ークの乱れが出てきたこともあり、これを是正する方針を打ち出したのである。
マクロソフトでは、ランクづけはやめ、チームワーク、協働活動、メンバーの成長度、更には、人材開
発に力点を置いている。例えば、個人の業績の他に、チームメンバーのアイデアにどれだけ磨きをかけた
のか、他のメンバーの成功にどれだけ貢献したのか、メンバーの潜在能力をどれだけ引き出せたのか等を
評価の対象にしている。
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3.タレント開発にどれだけ貢献できるかを評価する時代に対処するには?
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71年の歴史を持つASTDは、2014年5月6日、年次総会において、従来のAmerican Society
for Training and Development(ASTD)から、Association for Talent Development
(ATD)に名称を変更する発表をしたのをお聞きになりましたか?
伝統的な手法を教え込むTrainingは、既に古い教育手法だと自ら主張しながら、古い名称を変えよう
としなかったASTDも、彼らの活動実体に合わせた名称に、漸く転換する決断をしたのです。
タレントとは、本来、成長の伸びしろの大きな潜在能力のある人財であり、それを職場で活かせるかど
うかが、最大の経営課題だということを認識したからでもある。
従来は、結果に結びついたかどうか見えない人財投資を敬遠する傾向がありましたが、現在では、これ
を結びつける手法は沢山あり、その効果的なマネジメント手法が、数多く報告される様になり、従来の懸
念が薄れてきたことがその背景にある。
ASTDでは、カークパトリック、ジャック・フィリップス等の教育効果測定、更には、組織全体で、タ
レント開発効果を可視化する指針をまとめたタレント開発報告指針TDRPも確立され、その普及も徐々
に進んでいる。
タレント開発報告指針TDRPは、ANSI/ISO HR標準化でも、その標準化が内定し、現在準備が進
められている。
また、過去の履歴が中心のHRメトリクス(HR Metrics)から、将来志向のHR アナリティクス
(HR Analytics)に転換する動きも、徐々に進んでいる。
これらの動きから、個人の実績ばかりにこだわり、人事考課することで、如何に多くの問題を引き起こ
しているかが指摘される様になった。
これらの人事考課に関する新しい概念が定着すれば、個人業績だけに未だにこだわる企業は、「チー
ムワークに問題があり、将来に不安を抱える企業」と思われる時代なのである。
現在、日本企業では、これらを含めた抜本的な人事考課の見直しが求められている。
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■ 2014年5月29日 欧米企業で広まる人事制度改革は、日本に広がるか!(Part3)
前回は、人事考課改革の話題を取り上げましたが、今回は、日本の伝統的、構造的な問題でもある年功
序列と定年制に関して考えましょう。
人口減少が進む日本のグローバル企業にとって、2014年は、変革の年になりそうです。個人の業績を
ランクづけして、給与に反映することで、やりがいは、増すのが一番の方法なのか、他にもっと良い手法
があるのかも、考えてみたいと思います。
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1.年功序列と定年制廃止こそ、究極の労働力不足及び年金対策だ!
2.個人の業績をランクづけして、給与を決めることで、やりがいは増すのか?
3.2014年は、多くの人事改革、戦略的人材マネジメントが進展する年です。
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1.年功序列と定年制廃止こそ、究極の労働力不足及び年金対策だ!
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グローバル・ビジネスを強化するためには、欧米企業の人材マネジメントの動向に注目するのは、当然
のことです。世界の常識を知らないで、非常識な人材マネジメントを、当たり前の様にやっていては、こ
れで先進的なグローバル企業なのかと思われる。
その一例は、日本企業での年齢による雇用差別である。
米国では、雇用者年齢差別禁止法(ADEA法)の規定により、40−70歳までの応募者を採用
する場合、年齢により差別待遇が禁止されており、これに違反すると、罰金が課される。
日本では、労働力不足解消するには、女性労働力を活すべきと言っているが、それ以前の問題を抱えて
いるのが、年功序列と定年制であり、国もこの制度の存在を長年是認して来た経緯がある。
年功序列、定年制を未だに維持している企業では、国際労働機構ILOが要求する同一労働、同一賃金
の実現は難しくなる。日本企業の多くでは、定年を越えると給与が、約半額になる事例が、多く見られる
が、これも、年齢による差別待遇そのものなのだ。
これでは、とても先進グローバル企業として、決して誇れるものではない。
日本も高齢社会に入り、60ー70歳でも、若者と変わらずバリバリ仕事している方は沢山いる。
こういうベテラン人材に、定年を宣言し、「働きたければ、給与を半分にする」とのやり方では、定
年後は、「韓国や中国の先進企業で働いた方がましだ」と思われても仕方ないものだ。
これにより、団塊の世代の優秀な日本の人財と貴重なノウハウが、韓国のサムソンや中国のハイ
アール他に流出した。
これは、正しく、他国の企業に行った人を責めるより、年功序列と定年制と言う、伝統的な日本の構
造的な雇用制度の問題になる。
定年制がなくなれば、年金を払う必要のある人も減少することになり、年金対策にもなる。
高齢者に居座られると若い人の活躍の場が奪われると心配する人もいるが、これは定年制の問題より、
年功序列を維持していることに問題がある。
現代の若者の強みとベテランの強みは、相当違うこともあり、必ずしも競合しているとは言えな
い。
むしろ、「ベテラン人財には、教育者として期待する」ことで、教育効果、刺激効果が期待でき
る。
ただし、現代的なITツールやPCに馴染めない、或いは一向に学ぼうとしない古いタイプの人財は、も
はや歓迎されない。こういうタイプの人財は、定年を待つまでもなく、雇用維持が出来ない人も出て来て
当然である。これが現実なのです。
ライフネット生命を始めとしたベンチャー企業では、既に定年制度を廃止しており、年齢による差別
待遇のない雇用環境を実現している日本企業も多く存在している。日本政府が、定年制廃止を規制してい
るのではない。
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2.個人の業績をランクづけして、給与を決めることで、やりがいは増すのか?
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2010年には、'Get rid of the performance review, How companies can stop
intimidating, start managing and focus on what really matter'を、Samuel A Culbert
(UCLA教授)が、Business Plus社から発売し、各界からの議論が再度噴出した。
所詮、ベル・カーブの如きランクづけには無理があり、これを無理やり行うことで、チームワークの悪
化、上長とメンバーの信頼関係の悪化、マネジャーにかかる負荷の増大と膨大な時間の浪費が発生、これ
を給与に反映させると不信感は、更に増幅されることになる。
2012年の意識調査では、米国企業の多くでは、従来のランクづけ中心の人事考課は、もはや崩壊し
たと言われている。
高いレベルの価値を創造したのは、わずか8%で、「58%の会社では、従来型の評価体系は、も
はや効果的とはとても思えない」との結果が出たことになる。
特に、サービスや知的産業の従業員は、ランク付けより、人財開発に焦点を置く方針に転換する方針で
す。回答者の70%が、従来のランクづけによる人事考課を変更する方針を持っている。
2012年12月、コーチング&メンタリング(Coaching& Mentoring)に焦点をおいた米国国家規
格協会ANSI版パフォーマンス・マネジメント・ガイドラインが登場した。
2013年末から2014年初め、アドビ、マイクロソフト、ヤフー、ニューヨーク ライフ、モトロ
ーラ・ソリューション、ケリー・サービス等のサービス関連産業では、人事考課でのランクづけ中心
の評価体系をやめ、コーチング&メンタリングと人財開発を重視する方針に転換した。
今や、マネジャーの重要な役割は、命令してそれをやらせるタイプの評価型のマネジャーではなく、
「従業員が愛社精神をもって、仕事に当り、メンバーの潜在能力を活かせる機会を提供し、仕事へ
のモチベーションを高め、潜在能力を育てる支援をするコーチやメンターを育てる役割」が期待さ
れている。詳細は、こちら。
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3.2014年は、多くの人事改革、戦略的人材マネジメントが進展する年です。
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多くの欧米企業での人事考課の基本的考え方が、徐々に変わりつつある。
アドビ、マイクロソフトでは、昨年まで、ランクづけ人事考課を行ってきましたが、昨年末には、こ
れを廃止するという大きな人事制度改革を断行した。
また、70年にわたり、Training & Developmentを旗印にしていたASTDが、名称をタレント開
発協会ATDに名称変更したのも、大きな変革時期になる。
重要なのは、なぜ、これほどまでに、タレント開発(Talent Development)が、注目される様になっ
たのか、人事・総務までも、ビジネス志向を問われる時代になり、経営幹部や各事業部からは、何を期待
され、人事総務として、何をすべきなのかが重要だ。
毎年の様に新しいスキルやメソッドが、発表されたとニュースがありますが、それは何に役立つのか、
それで一体何が変わるのか、業績の改善に貢献してくれるのかが、注目されている。
確かに、新スキルやメソッドを導入するのが、目的ではなく、「年齢を問わず、会社が必要とす
る優秀人財が、いつまででも働きたくなるような職場風土やキャリア支援の仕組みをつくり、優秀
人財の応募が殺到するような会社にする」ことが人材マネジメントの基本であり、それにどれだけ貢
献してくれるかが、重要になるのです。
タレント開発協会ATDでは、毎年の様に、色々のスキルやメソッドが発表され、メディアでは、注目
されますが、それが、経営幹部やビジネスにも影響を与える基本的な目標にどれだけ貢献するのかが、最
大の課題になる。
一方、HRプロを目指す人事総務系の支援団体である人材マネジメント協会SHRMでは、伝統的な
テーマがその中心だが、連邦政府の企業への支援や取締強化策、労働関連法の追加変更、全国労働関
係局NLRB等での取締強化策、米国国家規格協会ANSIのHR標準化動向、パフォーマンス・マネジ
メント、タレント・マネジメント導入事例、HRアナリティクス、HRビックデータ事例、その他、
実務に密接な事例発表を、沢山見ることができる。
これらの最新動向を把握することで、先進グローバル企業がどんな背景で、どんな方向を目指している
のかを理解でき、色々な取り組みの重要性を理解することができる。
詳細は、こちらをご覧下さい。
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4.ホットな情報、多様な意見が飛び出す「戦略的人材マネジメント研究会」
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戦略的人材マネジメント研究会では、グローバル企業が進める戦略的人材マネジメントの動向を把握
しながら、日本企業が競争力をより強化するには、日本の人材マネジメントをどう変革すべきかを、ベテ
ラン経験者、実践者も交えて議論をする場を提供する。
人材マネジメント協会SHRM(会員約26万)やタレント開発協会ATD(従来のASTD会員約7万)
の今年の年次総会では、どんな動きがあっただけの情報提供だけでなく、この動きには、どんな背景があ
ったのか、どんな課題に、役立つものなのかを中心に話合う研究会です。
今の話題は、人材とか人財より、タレントという言葉を良く耳にする時代になりました。例えば、タレ
ント開発や、タレント・マネジメント、更には、タレント・アナリティクスまで、なぜこれ程タレン
トが注目されるのか、「その背景とその効果を引き出す方法とは?」を探る等々、グローバル企業の経営
幹部が興味をもちそうな、多彩で、聞いてて良かったと思われるテーマを沢山取り上げます。
例えば、「アドビやマイクロソフトが、ランクづけ人事考課をやめたって、聞いた?」というのが、
最近よくあるテーマです。
「でも、どうやって、給与きめるのかね?」とか、「それって、成果主義じゃなくなるということな
の?」とか、色々の意見が出てきます。「米国国家規格協会ANSIの進めるパフォーマンス・マネジメン
トの標準化とどんな関係があるのかしら?」という疑問も出てきますが、これをキチンと把握した上で、
自分の会社での可能性を検討するためのディスカッションが、研究会の場で続くことになります。
戦略的人材マネジメント研究会に参加することで、将来を見据えた話を皆さんの会社の経営幹部と出来
る様になるかもしれません。
皆さんも、これらのディスカッションに加わってみませんか! 詳細は、こちら。
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■ 2014年11月11日 従来のマネジメントをどう変革したのか? グーグルでのあるべきマネ
ジャー像に迫る
最近色々な意味で話題の企業が、グーグルです。「すべてのスピードが加速している時代におい
て、ビジネスで成功するには、スマート・クリエイティブを引きつけ、彼らが大きな目標を達成で
きる環境をつくることだ」ということで、ピープル・マネジメントの重要性、特にマネジャーの役割
の重要性を訴えた本が、日本経済新聞社より発売されました。
「グーグル、How Google works、私たちの働き方とマネジメント」という本です。注目企業の
現役経営幹部が、自社のマネジメント手法を紹介するのは、めずらしいことでもある。
その背景には、10年前とは、社内の職場環境が大きく変わったことを内外に宣伝したかったからにほ
かなりません。その内情、及び、どうやって実現できたのかを追ってみた。
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1.マネジャーは、指示命令するのではなく、自らの気づきをどう与えたのか?
2.最大の改善が見られたのは、キャリア開発とコーチングの分野であった!
3.期待する新規採用者には、破格の給与を提供すべきなのか?
4.最先端の実践的なマネジメント手法を学べるマネジメント実践コース!
5.優良マネジャーを目指す人のための戦略的人材マネジメント研究会
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1.マネジャーは、指示命令するのではなく、自らの気づきをどう与えたのか?
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グーグルでは、人事部のことをPeople Operationと呼んでいます。People Operationの大きな仕
事は、社員の待遇面、やりがいあり、働き易い職場づくりだと考えている。
数年前、グーグルでは、多くの女性社員が、会社を去ったことがあります。People operationでは、
最初は、女性の出産休の期間が不十分なのでないかと考え、業界標準の12週間を採用。その後、7週間
の追加を決めました。それでも足りないとの判断から、5ヶ月の産休まで採用した。
お陰で、従来の離職率は、半減したのである。
しかし、このような手探りの対策では、充分な対策は、できないと考え、ソーシャル サイエンティス
ト3名を採用し、People&Innovation laboを発足した。そこから始めたのがProject Oxygenであ
る。
職場での生産性を向上し、より働きやすい職場を実現するには、職場での「マネジャーの質の向上」
が欠かせないとの考え方から、グーグルでのマネジャーのあるべき姿を探り、「マネジャーのあるべき
姿、8項目」を発表した。
グーグルの企業文化では、「指示命令では、人は決して動かない」という傾向が強いため、なぜ変革
が必要なのかを草の根会議の実施によって、参加者に気づきを与えることが重要だと考えたからです。
この会議には、新任マネジャー、中間マネジャー、経営幹部が、参加し、職場でよくある課題をテ
ーマにして、現状把握と改善策を話合うことで、互いに、気づきを得られる場を提供した。
この会議をより効果的に進めるためには、経営幹部の積極的な参加が欠かせない。
また、どんな点が問題なのかを気づかせるには、良い事例と問題多い事例を対峙させて、考えることも
効果的でした。
また、マネジャー大賞(Great Manager Award)を新設し、全社で年間、20名の優良 マネ
ジャーを選定するようにしました。
マネジャーのあるべき姿の8項目(彼らは、これをOxygen8と呼ぶ)の詳細に関しは、こちらをご
覧下さい。
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2.最大の改善が見られたのは、キャリア開発(メンタリング)とコーチングの分野であった!
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Project Oxygenで提示された8項目を含めた調査(UFS:Upward Feedback Survey)を2010年
−2012年の3年間、実施してみると、最初は、厳しい内容だったマネジャーもいましたが、2012年に
は、83%-88%まで改善した。
その中で、一番大きな改善が見られたのは、キャリア開発(メンタリング)とコーチングの2つの分
野であったと報告されている。
グーグルでは、元々個人主義の文化が根強かったですが、マネジャーが、職場のメンバーをコーチング
し、キャリア意識を引き出す努力をした後に、この調査を行っていくと、徐々に、職場環境は、改善し
た。
グーグルの職場見学をした人は、通常の会社の職場と比べ、大変素晴らしい環境であると驚いていた
が、多くの見学者は、これらの職場環境が最大の成功要因だったのかと思ったかもしれない
しかし、彼らの調査報告では、これらの贅沢とも言える物理的な職場環境による改善効果が大きいとい
うより、むしろ、マネジャー達による、仕事に対しての前向きなフィードバックがより重要で、多く
の仲間からチームへの貢献を認められることの方が、価値が高いと報告している。
更には、マネジャーが、効果的にメンバーのキャリア意識を引き出し、その実現のための場を提供し、
支援し合う職場環境をつくることがより効果的だったとのこと。
マネジャーの意識改革は、1年で達成できるものではないですが、長年、UFSを実施し、その状況を把
握することで、その進化を知ることができた。
グーグルでは、People Operation(日本企業では、人事部)とPeople Analytics team(日本企業
の情報処理部門)が密な連携をとり、調査結果をすぐに人事施策に反映させたことが最大の成功要因でし
た。
例え、日本企業でも同様の仕組みを導入しても、分析だけに終わってしまい、一向に人事施策に反映さ
れないとすれば、社内での改革効果は、余り期待できません。
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3.期待する新規採用者には、破格の給与を提供すべきなのか?
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先に紹介した「グーグル、How Google works、私たちの働き方とマネジメント」では、企業の
成功には、人材マネジメントの重要性を多く指摘している。
その中でも、社内の人材登用や処遇の他に、「採用の質」が、問われるべきだとの考え方がある。
例えば、グーグルでの採用面接のフィードバックシートには、グーグラーらしさを評価項目に入れて
いる。
その中には、野心、意欲、チーム重視、サービス重視の姿勢、傾聴・コミュ二ケーション能力、行動
力、優秀さ、対人能力、独創性、誠実さが含まれている。これらの能力を、わずか30分の面接時間で判
定するのは、大変なことである。
更に、報酬に関しては、「例え、期待する優秀人材だとしても、新規採用者には、言い値を払って
はいけない」との掟がある。
報酬カーブは、低い所からはじめ、報酬以外の要素で、最高のスマート・クリエイティブを惹きつける
というのが原則である。
魅力的な仕事内容、優秀な同僚、大きな責任と機会、刺激的な企業文化や価値感、そして無料の
食事。
但し、彼らの入社後、抜群の働きをする様になったら、それに相応しい報酬を払います。また、破格の
報酬を支払う対象は、破格の働きをした人材に限定することである。
また、例え、駆け出しの平社員でも、職位や入社年度に関わらず、ずば抜けた仕事をする人材には、ず
ば抜けた報酬を払うのである。
グーグル的な考え方をすれば、食事補助にしても、外食する人も、社内のカフェテリアを利用する人も
均一に支給するのではなく、社内のカフェテリアでは、無料の食事を提供し、外食する人には、補助が
ない形にすることになる。
かかる費用は、全社員の均一の食事補助とさほど違わないですが、トップやマネジャーも、外部レスト
ランに行かなくなるので、仕事の効率も改善し、社内でのコミュニケーションが改善する効果があった。
日本企業でよく行われている全社均一の食事補助、入社後の勤務年数に応じた給与体系と発想の次元が
全く異なる。
皆さんは、どちらの方が、やる気を引き出し、生産性も向上すると思いますか?
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4.最先端の実践的なマネジメント手法を学べるマネジメント実践コース!
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さて、グーグルでは、生産性を向上し、働き易い職場環境をつくるには、マネジャーの役割は欠かせな
いとの考え方から、マネジャー教育に真剣に取り組んだのですが、グローバル企業でも、同様の目標を掲
げて、従来から、行われてきたパフォーマンス・マネジメントを如何に変革するかが、最大の課題とな
っている。
なぜかと言えば、従来のマネジャーが行ってきた、指示命令や管理監督強化、更には、メンバー間の競
争意識を高め、競わせて、業績をあげようとするマネジメント手法では、もはや効果に限界を感じる事例
が急増している。
かつてのグーグルが直面した問題に、多くのグローバル企業が直面しています。それでは、グーグルが
過去10年間、行って来たピープル・マネジメント手法をそのまま、活用すれば良いのかと言えば、そ
れだけでは解決できない問題も多々ある。だからこそ、複雑な様相を呈しており、個別のピープル・ア
ナリティクス(People Analytics)が必要になる理由がここにある。
米国規格協会ANSIが2012年に制定したANSI版パフォーマンス・マネジメント条項には、従来
の課題を解決するための多くのヒントが隠されている。
このANSI版のパフォーマンス・マネジメントをベースに、ISO HR標準化が現在、進んでいます。
早めにANSI版パフォーマンス・マネジメントの基本概念を導入することで、グローバル企業として
の基盤強化が実現し、優秀な人材の採用にも役立っている。
パフォーマンス・マネジメント実践コースでは、最新版のパフォーマンス・マネジメントである
コーチング&人材開発の基本的考え方を学び、来たるべきISO HR標準ガイドラインの早期導入を実
現するものです。
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5.優良マネジャーを目指す人のための戦略的人材マネジメント研究会
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戦略的人材マネジメント研究会では、グローバル企業が進める戦略的人材マネジメントの動向を把握
しながら、日本企業が競争力をより強化するには、日本の人材マネジメントをどう変革すべきかを、ベテ
ラン経験者、実践者も交えて議論をする場を提供します。
人材マネジメント協会SHRM(会員約26万)やタレント開発協会ATD(従来のASTD会員約7万)
の今年の年次総会では、どんな動きがあっただけの情報提供だけでなく、この動きには、どんな背景があ
ったのか、どんな課題に、役立つものなのかを中心に話合う研究会です。
かねてから、ピープル・マネジメントという概念は、多くの学者から提唱されてきましたが、それを
具体的に実現する手段として、ピープル・アナリティクスが注目され、Internet of Things(IoT)やビッ
クデータの事例として多々紹介されるケースが増えてきました。その成功事例が急速に増えることで、多
くの企業での導入が一層に進んでいます。
ビックデータの時代ですので、色々な対象がデータ化され、それを分析することで、より働き易い職場
の実現に役立てたいとする運動にもなります。
今回は、グーグル他の事例を中心に、2名の方から、違った視点で報告させて頂きます。
戦略的人材マネジメント研究会に参加することで、将来を見据えた話を皆さんの会社の経営幹部と出
来る様になるかもしれません。
皆さんも、これらのディスカッションに加わってみませんか!
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職場での着実な導入と定着を支援する
国際メンタリング&コーチングセンター
All rights reserved (c)Copyrights 2014 株式会社スマートビジョン
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「競争に勝ちたいなら
人材育成を「見える化」
しなさい」
Performance Managementの議論で、参考にになる図書
本書には、人事考課の手法はこうあるべきとの具体的な事例が沢山掲載されています。
UCLA教授が、結構過激な
議論を投げかけた話題の著書
スタンフォード大学教授が
アドビの改革を賞賛した時に紹介された最新書